平成29年度文京区障害者地域自立支援協議会 　第2回相談支援専門部会 

【日時】平成29年10月10日 14時から16時 

【場所】文京シビックセンター3階 障害者会館A＋B 

【出席者】 
志村 健一委員、樋口 勝委員、高田 俊太郎委員、佐藤 澄子委員、森田 妙恵子委員、 

北原 隆行委員、阿部 優委員、鈴木 淳委員、東瀬戸 徹委員、金子 宏之委員、 

関根 義雄委員、阿部 智子委員、浦田 愛委員、山名 興子委員、渋谷 尚希委員、 

大橋 文子委員、木内 恵美委員、髙松 泉委員、武田 美也子委員 

【欠席者】 

土屋 功子委員、田中 弘治委員、本加 美智代委員、永尾 真一委員 

【開会前に事務局からの連絡】 

・記録作成のため会議内容の録音許可について 

・出席確認 

・事前配布資料の確認 

・当日配布資料の確認 

【会議次第】 
１． 開会挨拶   部会長 樋口 勝氏より  
これまでの相談支援専門部会において、相談支援体制の課題が多く挙げられたが、 今回はそこから一歩踏み込んで、
地域での解決に向けてどんなことができるのか検討していきたい。
また、本日は地域の「居場所」としての取り組みで高く評価されている、『こまじいのうち』の実践報告を
社会福祉協議会の浦田氏から行って頂き、それを参考にしながら、文京区でも今後発展していくための意見交換をしていきたい。 


２．議題 
(１) 平成29年度第１回定例会議の報告及び意見交換 【資料第1号1～3】 

〇事務局より配布資料【資料第1号1～3】の説明 

資料第1号―1 文京区障害者地域自立支援協議会相談支援専門部会定例会議の報告 
 
資料第1号―2 障害者(児) 実態・意向調査報告書 

【在宅の方を対象とした調査】 

【サービス事業所の方を対象にした調査(一部抜粋版)】 
 
資料第1号―3 地域共生社会の実現について【厚生労働省資料より】 

第1回定例会議の報告 (開催日：平成29年7月12日) 

テーマ：事業所のストレングスを考える 

目的：事業所で抱えている課題を共有し、より良い連携を目指す。 

今回挙げられた課題を昨年度文京区が行った実態調査の内容と即して捉えてみると、 
実態調査でも同じようなことが課題として見えてきた。 
① ～⑧の課題点を再度実態調査とリンクさせながら振り返る。 

① 相談支援体制の脆弱性 

・「サービス等利用計画を作成してもらいたい」という方々は
「支援付のセルフプラン作成希望」を合わせて27.5％いる。
また、「相談支援専門員に詳しい内容を相談したい」という方も14.3％。 

「よくわからない」、「無回答」のなかにも分からない、知らないが故に無回答になっていることも想定される。 
→計画相談自体をよくわかっていないと思われる人が全体の５割程度いることが伺える。 

・計画相談の周知、広報がまだまだ足りていないのが現状。 

・指定特定相談支援事業所の指定を取る予定の無い事業所が６割。 
→理由：人材育成、職員体制が整わない。収益性の確保ができない運営の厳しさ。 

・地域ニーズがあるにも関わらず、事業者が増えていく見込みが少ない。 

② 家族、世帯全体への支援の必要性 

・主な介助者
・支援者は配偶者や母親などの家族。 
・困った時の相談相手は約７割以上が家族、親族。 
→家族の負担が大きい。その分、家族支援を必要としている家庭が多いことが
推察される。 

③ 日中活動支援に繋がらない方への生活支援 

④ 行き場所、居場所の確保と継続した支援 

・日中は「特に何もしていない」、「自宅で家事をしている」という方が約４割を超える。 
→理由：高齢のため(5割)、障害・症状が重いため。 

・高齢障害者が増えている。→就労支援だけでなく、高齢や障害が重い方でも日中過ごせる、集える場所の確保が必要。 

・「ほぼ外出しない」、「月１，２回程度の外出しかしていない」方が多い。 
→余暇支援の充実も今後必要なことではないか。ニーズはあるだろう。 

⑤ 医療との連携強化 

・障害や心身の不調に気付いた時の相談先は約6割が医療機関。 
→医療関係者と福祉関係者が早めに情報共有しながら、連携を取り、支援に当たることが大切。 

⑥医療ケアが必要な障害者・児のサポート 

・日常生活で医療的ケア(喀痰吸引、栄養管理、導尿、呼吸管理)が必要な方(3.7％) 
→数は少ない。だが、サービスが受けられないとなると圧倒的に家族の負担が大きい。 

…データ数値としては少ないが、生活に困っている人、行き詰っている人がいることを忘れてはいけない。
数は少なくても、声なき声をあげていくことも協議会として今後行っていくべき課題である。 

⑦地域住民を含めた地域福祉力を高めるような活動…資料第
1号―3参照 
 
厚生労働省「我が事・丸ごと地域づくり」 
支えて側と受け手側で別れるのではなく、住民が役割を持ち支え合いながら、地域コミュニティを育成し、
公的な福祉サービスと協働して助け合いながら暮らしていく地域共生社会の実現という理念、概念。 


〈地域共生社会の取り組み例の紹介〉 
・三重県四日市市 

・富山型デイサービス 

・「おじゃまる広場」(三重県名張市) 

・「地域共生型拠点を活用した、あらゆる住民の担い手創出事業」(北海道石狩郡当別町) 

⑧人材育成の課題とマンパワー不足 

・事業所経営で重視していること→職員の資質向上が約7割。人材育成が課題。 

〇質疑応答
・意見 

・定例会議で出てくる内容は実態調査でも明らかに数値として出ている。 
また、来年度以降の障害者福祉計画にどのように反映されているか、注視していく必要がある。 

・障害者、高齢者、生活保護受給者等を取り巻く低収入、住居の問題。
もっと行政も大家や民間に理解を求める啓発活動を行っていって欲しい。 
→物件、住居の確保に関して現場で動いていても問題は山積しており、難しさを感じている。
物件を借りたくても管理会社、保証会社から断られるケースも多い。
そうした問題の背景には障害者への偏見、差別、障害理解の欠如があるだろう。 

・区内でも障害のある方や生活保護の方が多く住まれている物件はある。 

大家の理解も得られており、支援者の中でそのような物件があれば情報共有が行われると動きやすくなるのではないか。 
 
しかし、行政職員や支援者に出入りされることを嫌がる方もいるため、
デリケートな問題であるという意識は忘れてはいけない。 

・少ないハードをどのように使っていくのかも課題である。 

・指定一般相談支援事業所は区内で2事業所と非常に少ないのが現状。 

・支援体制の脆弱性はどのようにすれば改善していくのか、具体的に考えていかなければ状況は一向に変わっていかないのではないか。
課題として挙げられたことをあと一歩突き詰めて考えていく必要がある。 

・現場で家族から寄せられる相談は、困り果てた末での相談であることが多い。
もっと早い段階から相談できる、相談しても良いのだと思ってもらえるような地域になると良い。 

・相談そのものがもっと気軽に行えるようになることは、障害を早期発見・早期治療する為にも必要である。 

・物件を借りた後もサポートしていける支援体制が出来ると良い。 

・居住支援協議会でも地域での困り事を把握し、課題の整理を行っていきたい。 

・困った時の相談相手、話し相手が身近にいないというのが一番問題である。 

そうした問題を自立支援協議会ではどのような方向性の上で取り上げていくのか。 

自立支援協議会としては、障害者福祉計画にどのように反映させていこうと思っているのか。 

→親会でもこの協議会での内容は報告をし、共有はしている。 

親会からどのように施策に盛り込まれていくのか、また、どのように反映されていくのか、
文京区での施策の動きと共に今後確認していきたい。 

・障害を理由に物件が借りられない状況というのは、本来であれば障害者差別解消法で認められていない。
区としても差別解消法の周知活動を今後も行っていき、障害者理解に努めていきたい。 

・相談支援の脆弱性に関しては、区や事業所だけの取り組みだけではなかなか解決できない制度上の問題も根深い。
即効性のある解決は現段階では難しいが、区としても要望は国に挙げているので、区と事業所ともに今できることを一つ一つ積み上げていきたい。 


(２) 地域コミュニティの活動拠点について ～支えあえる街づくり～ 
 
①地域の居場所『こまじいのうち』 実践報告 【資料第2号】 
 
文京区社会福祉協議会 地域福祉コーディネーター 浦田 愛氏より 

資料第2号 こまじいのうちのあゆみと区内に広がる居場所作り 


〇今回この議題がテーマとして挙がった経緯 樋口部会長より 

第1回定例会議で、行政や事業所で支援に当たるのには限界があり、住民による目配りや
気配りのある地域づくりが求められているのではないかという課題が挙げられた。 
社会福祉協議会では、地域に「あったらいいな、やりたいな」という視点のアンテナを常に張り、住民の「やりたいな」という声と結びつけながら活動を行っている。 

『こまじいのうち』の実践を検討しながら、地域での住民主体の取り組みについて検討していきたい。 

〇『こまじいのうち』実践報告…資料第2号参照。 

〇質疑応答・意見交換 
・『こまじいのうち』のような地域の居場所があっても、場所がよく分からない。 
分かりやすい告知を広く行って欲しい。 


・専門職だけではなく、地域住民を巻き込んだ政策が今後必要。 

地域の人を巻き込まないと本当の地域課題は見えてこないのでは。 

・文京区には『こまじいのうち』のような場所がいくつかあるが、そのような場所をまとめたり、調整しているところがない。 

・文京区のインフォーマルな資源がまとめられた冊子のようなものがあると良い。 

・『こまじいのうち』のような様々な方が大勢集まる場所が得意な人もいれば、苦手と感じてしまう人もいる。 
そうした方に合った資源も必要。文京区内に色々な形の資源ができると良い。 

・小さい頃から相談できる場所が増え、体制が整うと良い。 

・銭湯などの小さいコミュニティが少なくなっているが、身体障害者の巡回入浴などをそうした元からある資源を使って行えないだろうか。 

・地域共生社会を街づくりから進めている、シェア金沢(石川県、社会福祉法人 佛子園)のような構想が文京区内でも行えたら良い。 
…シェア金沢：高齢者、大学生、障害者、病気を抱えた人、分け隔てなく誰もが支え合い、 

共に暮らす街。かつてあった良き地域コミュニティを再生させる街づくり。 

・文京区の子育て支援政策として、文京版スターティング・ストロング・プロジェクト(本年度よりスタート) 
…文京版 スターティング・ストロング・プロジェクト：専門職チームが児童館、子育てひろばなどを巡回訪問し、
子育ての相談会を開催することで、保護者に実践的な育児スキルを伝達すると共に、育児の悩みの解消を図る。 


対象：文京区在住のすべての子どもと、その保護者。 

・『こまじいのうち』を始める際、地域住民からの反対運動などはなかったのか。 
 
→運営のメンバー自体が地域住民であったということもあり、反対運動などは起きなかった。
地縁の方が運営に携わっているという強みがあった。 


子ども食堂などで夜間に子どもたちが集っていても、特に苦情などはない。 

・『こまじいのうち』の隣に、『こまぴよ』という文京区で初めて民間が運営する子どもひろばができた。
地域コミュニティが同じエリアに複数あると、行きやすく、敷居も下がり入りやすい。 


(３) その他 
〇志村副会長より 
前回までの定例会議などで挙がった課題を受けて、専門職だけの支援に行き詰りを感じており、提供できる支援の枠組みに限界がきている。 
今後は地域住民にも仲間に入ってもらい、協力してもらうことは必要不可欠であると再確認できた。
また、昨年度からの課題である、地域で生活する居場所の問題、今回の『こまじいのうち』のような取り組みをヒントに文京区内でも増えていくと良い。 

 
３．その他 

〇事務連絡 

・アンケート提出締め切り：10月20日（金） 

・ピアサポートグループ、講座のご案内 

・文京総合福祉センター祭りのお知らせ 

・会議内容議事録の確認依頼について 

〇次回日程：平成30年1月下旬、もしくは2月上旬開催予定。