平成２９年度　文京区障害者地域自立支援協会
第２回権利擁護専門部会　議事録

１．日時　平成２９年１０月５日（木）午後６時３０分から８時
２．場所　文京総合福祉センター４階　地域活動室Ｃ
３.出席者　【委員】松下　功一・大形　利裕・安達　勇二・新堀　季之・美濃口　和之・　箱石　まみ・賀藤　一示・杉浦　幸介・久米　佳江・佐藤　真魚・
                   永尾　真一・小谷野　恵美
　　欠席者 【協議会会長】髙山　直樹【委員】浦﨑　寛泰・中村　智惠子・渋谷　尚希
４　次第　1開会
　　　　　2.議題
　　　　　　(1)リアン文京の選挙投票支援を通した意思決定支援について
　　　　　　　・リアン文京による選挙投票支援について経過説明、状況報告　～リアン文京　小林係長より～
　　　　　　　・質疑応答
　　　　　　　・意見交換、権利擁護専門部会の下命事項の確認について
　　　　　3.その他
　【配布資料】
　　　　　・開催次第
　　　　　・利用者選挙参加への取り組み
　　　　　・障害当事者部会作成広報誌


【はじめに】　
本日は、リアン文京の小林係長から７月に行われた東京都議会議員選挙について、利用者が選挙に投票した工夫や取り組み、障害があっても選挙に投票をした意味や、
意思決定支援の難しさについてなどの話があった。

【利用者選挙参加への取り組み】リアン文京　小林係長
＜絆社会の実現を目指す地域と繋がる８つの柱＞
リアン文京で大切にしていることの一つに「絆社会の実現」に向けて地域と繋がっていくための活動がある。
共生社会、共生の町づくりとして「その人らしい生き方」「一人ひとりの生きる道」を認め合い、ともに生きる社会の実現を目指している。
「絆社会の実現」に向けてチームリアンとして事業横断型で取り組み、8つの柱を定めている。
「共に生きる」「交流する」「出会う」「支えあう」「育む」「参加する」「伝える」「集う」である。
　「共に生きる」では、障害者の社会参加促進をめざし、利用者を対象とした選挙の投票所の設置、地域への外出など、
障害のあるなしに関わらず、地域で暮らす全ての人々との架け橋となるべくひとつひとつ積み重ねている。
選挙の投票については、地域の一員としてリアン文京が取り組んだ大きな一歩と考えている。
「交流する」では多世代交流を１階のカフェで定期的に開催している。
「出会う」「支えあう」「育む」「参加する」「伝える」「集う」では事業横断型で取り組んでいる。
入所施設の概要として、入所者の年齢の幅が広い(２０歳代から７０歳代まで)のも特徴である。
余暇支援については、利用者の得意なものに取り組むようにし、一人ひとりの個性を尊重して活動を行っている。
地域交流では、カフェでコンサートを開いたり、「縁が和」では子どもから高齢者まで多世代での交流を行っている。餅つきを通じて地域の町内会と利用者の交流をしている。
外出支援では、先日は両国に相撲を見に行った。利用者は外出が好きなようだ。リアン文京のフェイスブックで外出支援などの活動を発信している。
＜成年被後見人の方々の選挙権について＞
成年被後見人の選挙権について、平成２５年５月、成年被後見人の選挙権の回復等のための公職選挙法等の一部を改正する法律が成立、公布された。
これを踏まえ、リアン文京では利用者の選挙支援についての取り組について考え、実施してきた。
リアン文京開設からこれまでの利用者の選挙行為として
○リアン文京に住所がある利用者は、江戸川橋体育館が投票所になっているので行かなければ投票できない。（江戸川橋体育館までの道は急な坂である）
○投票用紙が住民票のあるところに郵便で届くので、リアン文京に住んでいて行くことのできない人がいた。
○親のところに届いた投票用紙を利用者に渡して郵送で不在者投票で投票を行った。
利用者に選挙権の行使をして欲しいと考えた時、どうしたら利用者みんなが投票できるのか、
文京区のバックアップなどを得ながら文京区選挙管理委員会との話し合いを行い、東京都の不在者投票所の指定認定を受けた。
認定を受けたことや、不在者投票のことなどを家族会にも説明をした。
手をつなぐ親の会（狛江市）のＤＶＤを見て準備をした。
＜模擬選挙で行ったことや工夫＞
○不在者投票をする際、本人の意思の確認をどのようにしたらいいか、手順とルールを決めた。
○模擬選挙を不在者投票日１週間前から行った。いつもの場所だから落ち着いて選挙ができるように、当日と同じようにして実施した。
普段からかかわりがある職員がそばについて投票が出来ることが大切だと思った。
○立候補者の説明について誘導するような行為であってはいけないと考えた。
＜不在者投票当日の流れ＞
○記録として写真を撮った。
○模擬選挙をやってよかった。２回やる意味があった。
○不在者投票当日の流れについて、選挙管理委員会から意見をもらった。
通常の投票所にはないが、漢字にルビをふる、ひらがなで書く、ポスターを貼る、など配慮をしてもいいことを知った。
＜振返りと課題＞
○障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援　ガイドライン(案)について再度確認したい
○事前に立候補者について選挙新聞などで説明したが理解することが難しかった。
○職員が立候補者のマニフェストなどを整理して利用者に伝える事に違和感を感じるのであえて実施しなかった。
○立候補者などがマニフェストなどを直接話しに来てくれるといいのではないか。
○滝野川学園の選挙の方法について今後検討していきたい。
＜代理投票補助を通しての意思決定支援の実際＞
○意思決定支援において、代理投票補助者に対し合理的配慮が必要だと考える。
○まばたき、うなずき、くびふりの行為においても意思表示とする。
○模擬投票を行い職員との体験を共有し、代理投票実施者であることをわかってもらう。
○本人に分かりやすいことが大切である
＜次回の選挙について＞
１０月２２日の衆議院議員総選挙は「小選挙区」「比例代表」「国民審査」など前回の都議会議員選挙より複雑なため、
マニフェスト、政党、国民審査など意思決定支援について更なる工夫や課題が残る。一人の支援者ではなく、チームで支援できるといいと考えている。

【質疑応答】
○たとえばマニフェストなどにおいてルビを振るなど分かりやすくしたらどうか。　
○そもそも選挙の意味がわかるか？
 →選挙の意味がわからないから投票しなくてもいいということではない。まずは選挙に行き投票することに重点を置いてみた。
そこから選挙について理解を深めていってもいいのではないかと感じた。
 →選挙とはその人が持っている権利なので職員が意見を言うことではなく、選挙権の行使を大切にしなければならないと考える。
 →選挙の意味といわれるとわからないかもしれないが、特別支援学校などでも生徒会長を選ぶとき選挙をしている。障害があっても意思を持って投票していると感じる。
○選挙自体を知らなければ投票所に行っても何をしたらいいのかわからなのではないか。選挙の理解も大切ではないか。
 →名前が面白かったなどが投票理由となっていて、選挙自体を理解していない利用者さんも実際はいた。選挙の意味を伝えていくことも必要と感じる。
○もともと選挙について知っていた認知症高齢者に選挙を伝えていくことと、選挙について知らない知的障害の方に一から選挙を伝えていくことは全く違うこと。難しいだろうと思う。
○10月の選挙では国民審査もあり、説明していくのがとても難しいのではないか。
○被後見人にも選挙権があるが、候補者の政策などの情報を後見人はどこまで提供していいのか悩んでいる。
○滝野川学園では立候補者が学園に来て演説をする。演説を聞くことでどの人に投票しようと思うかがはっきりする。
立候補者の好き嫌いのタイプがはっきりする。投票は２回指をさして確認している。
○立候補者などから直接演説が聞けると分かりやすい。
○選挙新聞だけではなく、選挙放送を利用してもいいかもしれない。
○障害があると初めての場所だと緊張してしまうので模擬投票はいいと思う。投票することで、選挙に興味を持つきっかけになる。
○リアン文京の選挙に対する真摯な気持ちに感動した。
○リアン文京で行った不在者投票では普段から関わっている人が利用者の意思表示を確認しながら投票することが出来たが、
一般の投票所だと区の職員などが対応することになるので初めて関わる人になってしまう。
○普段から関わっている職員の対応なら利用者さんの安心も大きい。障害や認知症のある方が一般の投票所に来ることもあるだろうから、
投票所の職員がどう対応していけるのか検討していく必要があるのではないかと感じた。
○選挙に初めて行ったときは何をしていいのか全くわからなかった。模擬投票はイメージができるためとてもいい取り組みだと感じた。
○障害者や高齢者のためにコミュニケーションボードの設置をしているがわかり難いかもしれない。更なる工夫の必要性を感じる。
○東京都議会議員選挙での不在者投票で利用者自身から「投票できたことが素晴らしい」との意見が出たことがよかった。あきらめなくてよかった。
○選挙を通じて地域の人や、選挙管理委員会の理解を得ることが出来た。選挙を通じて関係各所とコミュニケーションをすることで障害に対する理解が深まった。
○長期入院や施設入所している人たちが選挙権を行使ができるようになればいいと感じた。
○長期入院や施設入所しているということで不在者投票ということでは、社会と隔絶され地域の一員としての当然の権利が失われることになる。
本来であれば一般の投票所で投票するべきであり、投票したい場所で投票をするべきである。
○意思の確認を徹底していく。そのプロセスを大切にしている
○相談支援は意思決定支援であり、あらためて意思決定支援を大切にしていきたいと感じている。
○今回のリアン文京の取り組みは素晴らしいと思う。出来ない理由を数えてやらないことは簡単であるが、出来る事を積み重ねることが大切である。
取り組んでいくうちに裾野が広がっていく。素晴しいで終わらず繋げていきたい。今後も情報交換をしていきたい。
○とりあえず行動に移すことが大切。将来は場所を選ばず権利の行使ができることが理想。そのための取り組みを検討する必要がある。
○選挙をサポートしている地域同士で意見や情報を交換し合うのは面白いのではないか。
○滝野川学園は候補者が利用者に演説を行う機会を約20年間継続して設けている。候補者の代理人が演説を行うこともあるが市議は本人が演説を行っている。
○滝野川学園の資料を共有したい
○国立市は立候補者自身が選挙演説に来ている。
○演説を聞きたいという声を発信して、文京区でも演説を聞く機会を設けたい。

【その他】
○次回は12月13日（月）18：30から　会場：文京区民センター2階　2B会議室　　　　　　　　　
○衆議院議員選挙でのリアン文京利用者の様子をお聞きしたい。